一つの恋が終わったとき……少しゆっくり休みたいなと思っていても、彼との思い出に翻弄されて苦しむことがあります。

「彼とまた元に戻りたい」と思ったり、「いやいや、そんなはずはない」と思ったり……。

自分の心の波に振り回されますよね。

もしかして彼に執着しているのかな、と怖くなることもあるでしょう。

彼への気持ちが残っているわけではないはずなのに、どうして別れたあとはこんなに苦しくなってしまうのでしょうか？

人は恋愛をするとき、知らず知らずのうちにたくさんのエネルギーを使っています。

それは「お金」や「時間」といったものだけではなく、お相手に向ける「愛情」だったり、「価値観のすり合わせ」や「妥協」であったり、「譲れないこと」であったり……。

そうやって恋愛をするうちに、お相手の存在によって、だんだんと色々な「自分自身」に気づかされていきます。

つまり、恋愛をする「前」と「後」では、あなた自身が大きく変化していて、彼との恋愛を経験したあとのあなたには、彼への好きという気持ち以上に多くのものが記憶され、蓄積されているのです。

ですから、彼と別れたあとに苦しくなる理由……それは、ほとんどの場合、「恋愛をしていたときの自分自身の記憶を懐かしんでいるから」なのです。

たとえば、恋愛をしているときの「快適な状態だった自分自身」や、「生き生きとした自分自身」だったり、「彼を好きになって変化した自分自身」や、「初めての環境の中にいる新鮮な自分自身」など……記憶しているものはたくさんあるでしょう。

彼とお別れして、もう気持ちは前を向いているはずなのに体が言うことを聞かない……というときは、「私は今、彼への気持ちではなく、彼と恋愛中だったときの自分の記憶を懐かしんでいるんだ」と意識してみることで、心はぐんと楽になるはずですよ。

そして、心が苦しいときには、体のケガを治すのと同じように、まずは「休息」が必要です。

心は様々な感情を記憶していますから、体の修復よりも時間がかかるかもしれません。

でも大丈夫。体のケガが少しずつ治るように、心のケガもいずれちゃんと治ります。

まずはしっかりと休んだら、少しずつ本来の生活を始めていきましょう。

回復にはリハビリも必要ですので、外に出て買い物をしてみたり、映画を見たり、本を読んだりして、色んな感情を感じてみてください。

喜怒哀楽を感じたら、また少し休み、また動いては休み……少しずつ、自分の生活を取り戻していきましょう。

そうやって、できるだけ多くの出来事を体験し、毎日を記憶しながら、古い感情の上に、新しい感情を上書きしていきましょう。

そしてまた、自分の心の波に振り回されそうになったときには、「ああ、これは彼を好きだったときの自分自身の記憶だ」「この恋をしたおかげで、今の大切な自分自身が作られたんだな」と理解するようにしてみてくださいね。